top of page

宝塚Blu-ray「神々の土地」

  • 執筆者の写真: Ryoko K.
    Ryoko K.
  • 2017年12月31日
  • 読了時間: 6分

今年の後半はブログの更新率が下がってしまいましたが、最後に1つは何かを書こうと決めていたので、いざ実行を!(笑)

2017年も、小さいけれど新しい出会いや気づきがあり、それによって新たな世界や価値観に触れることが出来ました。

その中でも、最後の2ヶ月はなんだか宝塚づいている感があり、最後のブログは宝塚で締めようと思います。

宙組・朝夏まなとさんの退団公演である「神々の土地」のBlu-ray鑑賞の感想です。

どこをとっても「華やかな装飾に彩られた絵画」のような印象の、非常に美しい舞台。 というのが初見の率直な感想です。

退団後の人にハマるのは、もうどうしようもない性なのかもしれません。 でも、よくよく考えたら、退団の時というのは、ある意味その人の「完成形」ともいえるわけで、そこには200%とも言えるその人の魅力が凝縮されているのだと思うのです。 その魅力と合致した、それも私好みの作品となったら、惹かれないわけがなく(笑)。

この作品に最初に魅かれたのは、そのポスターの美しさでした。 ロシアの大雪原をバックに、気品ある登場人物たちの憂いを帯びた表情が、とても印象的で一瞬で「見たい!!」と思いました。

雪原の風景写真が昔からなぜか好きだったので、それも刷り込みのように影響してると思います。

観劇したいとは思いましたが、退団作品でもある為、チケットを取れるとは端から思わず・・・。(前売り発売時の自分が、それどころではなかったこともあり、気付いたら公演が始まってました)

それでもブルーレイを買おうかどうしようか迷いつつ(宝塚のソフトは高い!!)、観劇された方のブログを何気なくみていたところ、「行間を読む作品」という感想が!!

それこそ、まさしく私好みということで、思い立って購入し、最初の初見の感想となりました。

そして、そのブロガーさんの感想通りに行間と空気を読む作品でした。

台詞による時間経過と背景の説明、そして個々の役者さんの演技と表情で「漂う何か」を推し量る。 対峙するその瞬間に発する空気感で、これまでのその登場人物に何事があったかを想像させる。 そしてその想像も、きちんと正解に辿りつくように計算されている。 そんな大人な雰囲気がとても好きでした。

宝塚は割とみなまで言ってしまう作品が多いような気がするのですが、こうして時々、意表をつくような余白の多い作品が現れてくれるのが、私にとってはポイントが高いのです。

ロシア革命の末路を歴史として知っているだけに、幕開きの暗殺未遂シーンからして悲劇の予感しかなく、それを彩るような破滅に向かう直前の華やかさであったり、儚さが常に付きまといます。

そしてこの空気感と同時に「ビジュアルでの魅力」として私が感じたのは、最初に書いたように「絵画的」な美しさ。

特にそれを感じたのは、大階段に敷き詰められた赤いカーペットの効果。

その赤の上で主人公・ドミトリー(朝夏さん)と、彼を中心にして縦一直線に並ぶ二列の近衛兵達の黒い軍服。 次には客席に背を向ける形で、銀橋に横一直線に並ぶ彼ら将校と、大階段に居並ぶために厳かな足取りで下りてくるロマノフ家の面々。 オープニングの迫力がここに集約しています。

そして、次に目を奪われたのは、革命を画策する人々がドミトリーを囲む場面。 威風堂々のマリア皇太后を筆頭に、見事に配置された人々の凛とした佇まいが、得体の知れない緊張感と不吉さを孕んで、とにかく迫力があり、まるでルーブルの「ナポレオンの戴冠」を見ているかのような印象。

ドミトリーとイリナのダンスシーンは、どれもが溜息が出るほど綺麗です。

僭越ながら、昔からロシアの軍服物は宝塚が最高峰だとなぜか信じています(笑)。

マントを斜め掛けにする独特の着方が、(本場ロシア人は別として)タカラジェンヌさんが一番しっくりくる。要は単純にカッコイイのですが、ただカッコイイだけでなく綺麗なんです。

そんな見事なまでに少女漫画的な美しさの軍服の朝夏さんと、イリナの怜美うららさんのたっぷりの布地を使ったと思われる豪奢なドレスでのダンスシーンは目を瞠るばかり。

組んで踊っている時のドレスの裾捌きが、うっとりするくらい見事で華やか。

イリナは架空の人物ですが、それを微塵も感じさせない怜美うららさんの気品は素晴らしかったです。 やたらとデコルテや背中を強調するドレスが多かったのですが、それも納得の美しさでした。

朝夏まなとさんには基本興味がなくこれまで来たのですが、偶然、この作品についての生徒さん達のトーク番組をいくつか見ていたなかから、彼女が皆にとても慕われているのが伝わってきました。 以前見ていたSky Stageでの彼女のトークなども、とても明るい雰囲気と爽やかさと大らかさがあったように思います。

端正で正統派ヒーローのドミトリーと、気品溢れる美貌の未亡人・イリナ。 二人で一つの完成した存在のようでした。

そんな二人に対して、個性的だったのは真風涼帆さん演じるフェリックス。 ドミトリーとこのフェリックスは実在の人物で、ラスプーチン暗殺を実行した人達。 写真も残っていて、二人とも大変な美形のようです。(彼らは愛人だったらしい!!)

それはさておき、この舞台上のフェリックスはとにかく「美しいものが大好き」な人であり、その為ならどんな犠牲も努力も惜しまない人物。

上流階級の人間としての気品もあり、考え方も非常に貴族的でスノッブ。それでいてどこか超越したようなものを併せ持った、不思議で異質な存在。

だけど、とても人間的で魅力的な役でした。

ドミトリーに対しても愛情とも友情とも言える強くひたむきな感情で相対していますが、それもそこはかと匂わせる程度。見るこちらに委ねられている感じでしたが、崩れゆく帝政ロシアの救世主として、ドミトリーに期待をしていて、非常に大切に思っているのだろうと私は解釈しました。

こんな感じで史実とは色々と異なる舞台ですが、そこはフィクションなので、一向に構いません(笑)。 大事なのは華と美的センス!てことで。

今回この作品を見たことで急に思い出したのですが、前回の記事でも触れた渡仏前の宝塚観劇の際、とても気になるタカラジェンヌさんが一人いました。 とにかく目がいってしまう華やかさと爽やかで素敵な笑顔が印象的だったのですが、それがなんと前述の真風さんだったんです! その時はまだ若手だったように思うのですが、あれから3年経って、その人の役に興味が湧くのも何かの縁なのかもしれません。

背も高くスター性もあるという評判のようですので、今後は暫く彼女に注視していこうかと思ったりしています。

とはいっても、作品によるので、どうなるかは分かりませんが。

そういった気持ちはいつまでも持ち続けていなければと思います。

それでは、皆様、良いお年を。

2017年 大晦日

Comments


bottom of page