ワイルドホーン×宝塚の傑作!
- Ryoko K.
- 2018年3月10日
- 読了時間: 4分
気になっていた作品をblu-rayで購入&鑑賞しました。
『ひかりふる路』

1時間40分ほどの、ミュージカルとしては短い舞台でしたが、フランス革命の指導者・マクシミリアン・ロベスピエールの生涯をスピーディーに描き切って、とても濃密でした。
そして何より、芝居と同じ分量のロマンティックな楽曲が鏤められた素晴らしい作品でした。
なんといってもワイルドホーンの楽曲が凄い!
今まで色々な彼の楽曲を聴いてきましたが、私にとっては現状で最もロマンティックな音楽だと感じました。
それはやはり宝塚だということを、彼自身も意識しているからだと思いました。
元タカラジェンヌを妻にした人ですから、宝塚の何が魅力なのかをきちんと把握しているんですよね、きっと。
宝塚は当たり前ですが、全員が女性。
その女性が男性を演じて歌を歌うため、女役さんは男役さんのキーに合わせて裏声&高音が必須です。
これまで海外の作品を宝塚で演じる時には、元が男声と女声で作られた曲を、無理やりすべて女声のキーに合わせる必要がありました。
(その為に、残念ですが元々の曲の調性がおかしなことになることが、たくさんありました/涙)
ですが、今回は最初からタカラジェンヌの為に書き下ろされた楽曲。
すべての曲が、無理のない&美しく聞こえるキーで作曲されていて、聴いていて不自然な移調もなく、安心して聴いていられる。
英語を訳した歌詞でないため、言葉と音の組み合わせもぴったりと合っている。
(曲が先に出来て、歌詞が後なのかな?)
ワイルドホーンは日本語堪能なのでしょうか?(奥さん日本人だし)
そう思うくらいに、歌詞が自然に音楽に乗せられていて、だから感情の高ぶりと曲のトップノートがマッチして、心に響いてきました。
(これは作詞の先生の実力かな?)
もちろんそれは、歌が激上手なトップコンビであることも最大の要因です。
【望海風斗さん&真彩希帆さん】
伸びやかな歌声と豊かな声量、フランク・ワイルドホーンの難しい楽曲を、余裕をもって歌えるだけの歌唱力。
これはもう本当に感動です!
本当に歌が上手いと、綺麗なメロディーライン&複雑な音の流れと一緒に、その歌詞が意識しなくても頭に入ってくるんですね。
望海さんが歌が上手なことは知っていましたが、トップ娘役に彼女に負けないほどの歌上手な真彩さんが来てくれたことが本当に嬉しいと、ファンでもないのに思いました。
しかも、宝塚の娘役としては極めて稀な、地声を使っての歌唱。それでもぶれない高音の凄さ!
いくつかあるデュエットも見事な掛け合いで、女性同士で歌ってるとは微塵も感じさせない。
この二人だから成立した作品。
大変申し訳ないのですが、普段の宝塚の楽曲とは明らかに違う、オーケストラの厚みのある響きと相俟って、すべてが私にとって完璧な舞台でした!!
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ギロチンの赤が斜めに切り裂く舞台背景。
爽やかで理想に燃えた前半のマクシム(ロベスピエール/望海さん)。
マクシムと出会ったばかりのマリー=アンヌ(真彩さん)の虚ろな表情。
マクシムを崇拝するサン=ジュストの狂信的な姿。
ダントンやデムーランとの悲劇となってしまった深い友情。
信じた仲間達の裏切りによって恐怖政治へと突き進んでいくマクシムの狂気じみた表情や、マリー=アンヌの本当の目的を知って絶望する様は、切なくなりました。
無駄なシーンが一つもない、どこも目を離せないくらい、すべてが見所の凝縮された舞台。 こんな短い時間でも、物凄く満足できる作品に出会えて幸せです。
※ついでに一言。
この二人で「Phantom」がみてみたいです。
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ロベスピエールというと、ベルばらや他の作品から
「冷徹な革命の指導者。多くの人を革命という大義名分で処刑した挙句、自身も断頭台に消えた人物」
という印象くらいしかなかったのですが、この作品に出会ったことで、彼自身に興味が湧いてきました。
フランス革命も最後の方は混沌としていたらしいのですが、その起承転結を様々な目線から眺めてみるのも面白そうだと思いました。
フランス人にとって、フランス革命は彼らのアイデンティティであり誇りでもあるようです。 外国人であり、東洋人である自分の目から見ると、そういったものがどんな風に見えるのかも興味深いです。
今はこの舞台のCDの発売が待ち遠しいです!
ヘビロテ間違いなしの1枚になると確信しています(笑)。
ちなみに、この舞台が好きすぎて、後半のショーまで鑑賞してなかったりします(笑)。
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