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THE INSIDER

  • 執筆者の写真: Ryoko K.
    Ryoko K.
  • 2018年7月16日
  • 読了時間: 4分

今日も暑いですね。

この暑さに動くことを諦め、午前中は録画していた映画を見ました。

数日前にBSで放送していた「INSIDER」です。

私のオススメ映画の一つで、放送されるとついつい見てしまいます。

1999年公開。主演はアル・パチーノとラッセル・クロウ。

アメリカのタバコ産業の不正を暴こうと闘ったTVプロデューサーとインサイダー(内部告発者)の、実話を元にしたストーリーです。

これを薦めてくれたのは、留学当時のルームメート。

よほど気に入っていたのか、ビデオを強引に押し付けて

「君なら絶対気に入るよ!凄くいい映画なんだ!!」

と大興奮してました。

アメリカで英語を使って生活していたとはいえ、こういった専門用語が出てくる社会派の映画は何を言っているのかさっぱり理解不可能。

それでも、ずっと感じていたのは「Tense」。

Tense・・・ぴんと張った、張りつめた、緊張した。

まさしくこの一言で表せる映画です。

分かりやすい派手なアクションなどのハリウッド映画とは違い、渋いおっさん達がただひたすらに大企業相手に悪戦苦闘して、足掻いて、口論を繰り広げている。

友情・信念・疑念・躊躇・理想と現実。

約2時間半ですが、一時たりとも気が抜けません。

ワイガンド博士(ラッセル・クロウ)がタバコの大手企業を突然解雇されるところから始まり、前半は彼がありとあらゆる苦難に見舞われながらも、バーグマン(アル・パチーノ)に支えられて内部告発に踏み切るまでが軸になってストーリーが進みます。

後半は彼の告発(インタビュー)を60ミニッツという番組として完成させたにも拘らず、その大企業からの圧力で放送できなくなってしまった番組プロデューサー・バーグマンが、ワイガンドとの信頼関係のため、己の信念のため、奮闘するといった流れになります。

久しぶりに見ましたが、やはり息が詰まる映画でした(笑)。

眉間に皺は寄るわ、無意識で体に力が入るわ、本当に息が止まるので途中何度も溜息はつくわ(笑)。

ワイガンドがとにかく不幸な目に遭ってばかりで、大企業からの脅しが非情!家族にまで危険が及ぶような気配や、「黙らなければ殺してやる」の脅迫(映画の最後にテロップで出ますが、この脅迫は今日も誰からなのか分からないままだそうです)等々、多少の脚色はあるでしょうが、これが実際に大企業が行うことなのかと恐怖すら感じます。

だから、彼が告発に踏み切って、やり遂げたような笑顔を見せた時は、こちらも嬉しくなります。

後半は私の大好きな俳優、アル・パチーノが熱演です。

ジャーナリズムとはなにか、ジャーナリストはどうあるべきか、拠って立つべき己の信念とは何か。

映画は究極の理想形ではありますが、今の日本のジャーナリズムに最も欠けている姿であることは間違いないでしょうね。

それはさておき。

ラストシーンで、コートの襟を立てながら去っていく後ろ姿の渋くてカッコイイこと・カッコイイこと!!

そして、もちろんこのブログのメインである音楽も忘れていません。

このTenseな映画を下支えしているのが、音楽です。

見ている側の低く一定した緊張感をずっと持続させるかのような、それでいて耳障りでない音楽が映像と一体化している。

決して激しくない音楽で、ずっと同じようなリズムやメロディーが通奏低音のように流れつつ、時折、メロディアスな曲調で、登場人物の感情を表現する。

すべてが解決した時に流れる音楽は、やっと緊張感から解放される印象を与えます。

けれど、去っていくアル・パチーノの背中に重なって始まるエンディング・タイトルは、彼が新たな戦いに向かっていくことを予感させるような音楽になっています。

そういえば今回久々に見て、改めて思ったことがありました。

初めて見た時から、ワイガンドの奥さんの描写が苦手でした。一人の女性として見た時に、とてもリアルな姿だとは思うのですが、彼女は夫の正義と一緒に戦うことを選べなかった。

それとは対照的に、バーグマンの奥さんは、八方塞の状況に苛立つ夫に、進むべき道へと背中を押す。

苦しい状況に陥った時、自分ならどちらの女性の道を選ぶのだろうか?

言うのは簡単でも実行するのは勇気も覚悟もいるはずです。

さて、あなたなら?

バーグマンの周囲の人間達には様々な人がいて、誰もが人間臭く、必死に生きている。

もちろん大企業側は分かりやすく悪人ですが(笑)。

NYの雰囲気など懐かしさも覚えつつ、良い映画は何年経っても良い!!

喧嘩もしたけど、これを薦めてくれたルームメートには、とりあえず感謝しておこうかな(笑)。

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